クリスマスイブの24日、ペルシャのめいちゃんの去勢手術をおこないました。
めいちゃんの睾丸は1つは陰嚢のなかにありましたが、もう一つはお腹の皮膚の下にありました。
ネコの睾丸(精巣)は、胎児期に陰嚢におりてきます。
しかし、精巣が下降せず、お腹の中や鼠径輪(後足の付け根)付近で留まるものを潜在精巣や、停留睾丸、陰睾丸といいます。遺伝性の疾患です。猫ではペルシャに多いという報告があります
精巣は陰嚢(体の外)の体温より温度の低いところにあれば問題ありませんが、お腹の中や皮膚の下の温度の高いところにあると正常に精子を形成できません。また、停留睾丸が腫瘍になる確率は正常の13倍にもなるといわれています。(犬)精巣の腫瘍は貧血をおこしたり、肺やリンパ節に転移することもあり、転移してしまうと、命をおとすことにもなります。
犬ではよくあることですが、ネコの陰睾はまれといわれています。私は、街の病院にいたころの10年間ほどはネコの陰睾は経験しませんでした。4年ほど勤めた前職では純血の子猫の割合が多かったからか、腹腔内陰睾を何例か経験しましたが、皮下陰睾のネコちゃんは覚えている限りでは、はじめてでした。
手術は皮膚の切開が2箇所になるだけで、大きくはふつうの去勢手術とかわりません。陰嚢内の睾丸は一般的な手術とおなじく陰嚢を切開し睾丸をとりだします。もう片方は睾丸の直上の皮膚を切開し睾丸をとりだしました。
右側(写真上側)の陰睾丸は反対側の正常睾丸よりすこし小さめでした
めいちゃんはとてもおだやかなねこちゃんで、手術前も手術後も協力的でほんとうにおりこうでした。
手術前点滴中のめいちゃん
手術後は個室にうつり、元気に探検していました。
去勢といえど、全身麻酔。飼い主様には緊張でおちつかないクリスマスとなったのではないかと思いますが、腫瘍になるおそれのある精巣をとり、他のホルモン由来の病気のリスクもなくなり、男性ホルモンによるイライラやスプレーの心配もなくなり、ご家族からめいちゃんへのすばらしいクリスマスプレゼントだなあと思いました。